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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.07.01 Mon » 『無限への手先』

【承前】
 セイバーヘーゲン追悼シリーズその3は、またまた変化球で、故人が夫人ジョーンとともに編んだアンソロジー。チェスをテーマにSFとファンタシーを集めた Pawn to Infinity (Ace, 1982) である。

2007-7-9(Pawns)

 表題はわざと直訳したが、pawn はもちろんチェスの駒を意味する。
 もちろん、じっさいにチェスを指す作品が大半だが、チェス的なゲーム、あるいは状況ということで選ばれた作品もある。
 収録作品は13篇。興味深い内容なので、目次を書き写しておこう――

1 The Marvelous Brass Chess Playing Automaton  ジーン・ウルフ
2 ユニコーン・ヴァリエーション  ロジャー・ゼラズニイ
3 The Immortal Game  ポール・アンダースン
4 モーフィー時計の午前零時  フリッツ・ライバー
5 Unsound Variations  G・R・R・マーティン
6 A Game of Vlet  ジョアナ・ラス
7 無思考ゲーム  フレッド・セイバーヘーゲン
8 A Board in the Other Direction  ルース・バーマン
9 ヴォン・グームの手  ヴィクター・コントスキー
10 Kokomu  ダニエル・ギルバート
11 モクソンの人形  アンブローズ・ビアス
12 Rendevous 2062  ロバート・フレイジャー
13 Reflections on the Looking Glass: An Essay  アルフレッド・スチュアート 

 このうち最後のふたつは、それぞれ詩とエッセイ。ライバーの短篇は、将棋雑誌に邦訳があるそうだが、未見(追記1参照)。

 小説に関しては、定番を抑えたうえで、珍しい作品を拾っており、編者のやる気が伝わってくる。
 もっとも、アンダースンの作品のように、チェスのアンソロジーにはいっているというだけで、結末が読めてしまう例もあるが。作品自体はなかなかの出来なので、ちょっと勿体ない。(追記2参照)

 ちなみに、マーティンのノヴェラは、近刊予定のマーティン短篇集『洋梨形の男』に入れる。ホラー風味のSFで、いやーな感じの秀作なので、乞御期待。早く出せるように、がんばらないとなー。(追記3参照)(2007年7月6日)

【追記1】
 この後、チェスをテーマにした若島正編のアンソロジー『モーフィー時計の午前零時』(国書刊行会、2009)が刊行され、この邦訳が収録された。同書はセイーバーヘーゲン夫妻のアンソロジーを踏まえており、1が「素晴らしき真鍮自動チェス機械」として邦訳されたほか、2と9も編者によって新訳された。訳題はそれぞれ「ユニコーン・ヴァリエーション」、「必殺の新戦法」である。

【追記2】
 この記述は当方の不明のなせる業だった。表題の「不滅のゲーム」とは、1851年に行われたチェス史上有名な対局を指し、この小説はその棋譜をなぞっているのだという。竹岡啓氏のご教示による。深謝。

【追記3】
 上述どおり、「成立しないヴァリエーション」としてマーティン傑作集『洋梨形の男』(河出書房新社、2009)に訳出できた。


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