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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.07.23 Tue » 『妖術の諸王国』

 リン・カーターが編んだ空想世界ファンタシーの啓蒙アンソロジーには Kingdoms of Sorcery (Doubleday, 1976)というのがある。

2007-6-2(Kingdoms)

 だが、この本は意外に世に知られていない。というのも、ローカスの短篇集・アンソロジー・リストから、どういうわけか漏れているからだ。世に出まわっているカーターの著作リストは、このリストを基にしたものが多いので、当然ながら記載されていないのである。
 当方は本書の姉妹篇を手に入れたとき存在を知り、あわてて注文したのだった。

 本書はカーターが編んだ一連の啓蒙アンソロジーとしては初のハードカヴァー。そういうわけでなかなか気合いがはいっており、大家の有名作から同人誌レヴェルの珍品までとりそろえている。主要な短篇はすでに使ってしまったという事情もあるのだろうが、類書には見られないユニークな目次になっているのはたしか。

 だが、その編集方針が裏目に出た感がある。というのも、収録作19篇中7篇が長篇の抜粋。6篇が10枚以下の掌編なのだ。
 おそらく本書は見本市であって、興味があったら同じ作者の単行本に手をのばしてくれということなのだろう。だが、アンソロジーとして見れば、首をかしげざるを得ない。長篇の一部抜粋で、その作品の真価が伝わるとは思えないし、散文詩のような掌編は、物語を愛好する読者を敬遠させるだけだからだ。

 ちなみに、抜粋が載っている長篇はベックフォード『ヴァテック』、エディスン Misteress of Misteresses、プラット The Well of the Unicorn、 ホワイト「石にさした剣」(ただし、邦訳版からは削除された部分)、ルイス『ライオンと魔女』、トールキン『旅の仲間』、アダムズ『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』。
 邦訳がある作品はライバー「ランクマー最高の二人の盗賊」、ポオ「影」、「沈黙」、C・A・スミス「悲しみの星」、「記憶の淵より」。
 このほかヴォルテール、マクドナルド、モリス、ロバート・H・バーロウ、ディ・キャンプの短篇と、スミスの散文詩がさらに1篇載っている。姉妹編とくらべると、民話/寓話色の濃い作品を集めたものといえる。(2007年6月2日)
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