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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.04.26 Thu » 『ジャック・ヴァンスの宝』

 テリー・ダウリング&ジョナサン・ストラハン編 The Jack Vance Treasury (Subterranean, 2007)がとどいた。白石朗さんに教えてもらって、あわてて買った本である。

2007-5-6(Vance Treasury)

 表題どおり、ジャック・ヴァンスの傑作集。大判ハードカヴァーで630ページを超えるヴォリュームに、1950年から1977年にかけての中短篇18篇を集めている。邦訳がある作品は、掲載順につぎのとおり(追記参照)――

「竜を駆る種族」「無宿者ライアン」「光子帆船25号」「海への贈り物」「奇跡なす者たち」「スフィアーの求道者ガイアル」「ココドの戦士」「天界の眼」「無因果世界」「新しい元首」「月の蛾」「最後の城」

 ご覧のとおり、ザ・ベスト・オブ・ベストと呼べる選択(拙訳が2篇はいっているので鼻高々)。未訳の6篇もそれに準ずるので、だれが選んでもこれに近いものになるだろう。したがって新味はない。
 
 だが、それでもファンには必携の1冊である。なにしろ、ヴァンスに私淑するジョージ・R・R・マーティンが賛を寄せ、編者コンビが熱っぽい序文を書いているうえに、ヴァンスが珍しく生い立ちを語ったエッセイが収録されている。おまけに作者自身のコメントをいろんなところから集めてきて、各篇に付しているのだ。このおまけだけで大枚はたく価値はある。オーストラリア人コンビえらい。

 というわけで、付録の部分だけ読んだ。収録作はすべて読んでいるので、もうこの本を読むことは一生ないだろう。それでも、手元には常に置いておくつもり。もちろん、撫でさするためである。(2007年5月6日)

【追記】
 この後「音」と「ミトル」の2篇が『奇跡なす者たち』(国書刊行会)に訳しおろされた。

 さて、ヴァンス・シリーズは、つづけようと思えばあと50回くらいつづけられるのだが、この辺で目先を変えよう。「宝」つながりで、べつのカルト的人気を誇る作家に話題を移す。乞御期待。



 
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