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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.05.21 Tue » 『位相宇宙』

【承前】
 バクスターの第二短篇集 Phase Space (Voyager, 2002) を読みおわった。ちなみに、当方が持っているのは例によって翌年に出たペーパーバック版。ハードカヴァーの版下をそのまま縮小したらしく、活字が恐ろしく小さくてまいった。この形でも426ページもあるので、字組みを変えたら500ページを超えてしまうのだろうが、それにしても……。

2007-3-1(Phase Space)

 本書には1997年から2002年にかけて発表された25篇の作品が収録されている。邦訳があるのは「グラスアース・インク」、「軍用機」、「シーナ5」、「氷原のナイトドーン」、「避難所」、「重力金庫の記憶」の6篇である。
 じつは多元宇宙をテーマにした《マニフォールド》シリーズの外伝ということになっているのだが、その説明をすると長くなるので省略。

 周知のとおり、バクスターは近年ものすごい量の作品を書いている。長篇を年に二、三冊出すうえに、短篇を毎月のように発表しているのだ。これで筆が荒れないわけがなく、濫作のそしりはまぬがれないだろう。
 皮肉なことに小説技術が向上したことが裏目に出ている。ワン・アイデアをテクニックだけで30枚の短篇に仕立てられるようになったからだ。しかし、テクニックがひとつしかないので、作品の印象が似通ってしまう。雑誌やアンソロジーで1篇だけ読む分にはいいのだが、まとめて読むと拷問に近い。

 未訳作品のベスト3は、ステープルドニアンな宇宙小説と宇宙開発もののハイブリッド“Open Loops”と“Spindrift”、 破滅もの“Martian Autumn”だろうか。残りの作品も水準はクリアしているものが多いが、傑作はひとつもない。残念だ。(2007年3月1日)


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