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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.01.01 Tue » 『大海蛇!』

【前書き】
 明けましておめでとうございます。

 新年最初は、干支にちなんで大海蛇をテーマにしたアンソロジーを紹介したい。「シーサーペント」は、厳密には「蛇」とはかぎらないのだが、細かいことは気にせずにいこう。


 ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワの幻獣アンソロジー・シリーズその2。こんどは Seaserpents! (Ace, 1989) である。大海蛇はもちろんのこと、その同類である「水中に住む巨大生物」をテーマにしている。この手の作品には当方、目がないのだ。
 表紙絵は日系のヒロ・キムラ。大海蛇が東洋風の龍になっているのはご愛敬か。

2006-12-8 (Seaserpents)

 収録作はつぎのとおり――

Algy  L・スプレイグ・ディ・キャンプ
Out of Darkness  リリアン・スチュワート・カール
海の怪獣!  ラリー・ニーヴン
The Horse of Lir  ロジャー・ゼラズニイ
The Mortal and the Monster  ゴードン・R・ディクスン
海に落ちた男  ジョン・コリア
The Dakwa  マンリー・ウェイド・ウェルマン
The Kings of the Sea  スターリング・E・レイナー
Grumblefritz  マーヴィン・ケイ
マルカークの悪魔  チャールズ・シェフィールド

 ニーヴンの作品は《タイムハンター・スヴェッツ》ものの1篇。このシリーズに属す作品は、Unicorns! にも採られていた。編者たちが同シリーズを高く評価していることがうかがえる。たしかに、このシリーズはニーヴンのユーモアと屁理屈が理想的な形で合体している。連作をまとめた『ガラスの短剣』(創元SF文庫)は、もうすこし話題になってもいいと思う。
 シェフィールドの作品は、チャールズ・ダーウィンの祖父、エラズマス・ダーウィンを主人公とする連作の1篇。ネッシーみたいな怪物が出てくる。

 未訳の作品のなかでは、ゼラズニイの作品がいちばんいい。一種の伝奇小説で、代々〈リールの馬〉と呼ばれる大海蛇の世話をしている一族の存在が明かされる。静謐なムードがみごと。
 ディ・キャンプの作品は、ネッシーのような怪物の偽物を作って世を騒がす話で、ちょっと面白い。
 あとはどれもいまひとつの出来。
 
 けっきょくいちばん面白いのは、コリアの作品。近いうちに出す予定の怪物小説アンソロジーに新訳を入れるので、お楽しみに(追記参照)。(2006年12月8日)

【追記】
 無事に拙編のアンソロジー『千の脚を持つ男――怪物ホラー傑作選』(創元推理文庫、2007)に収録された。

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