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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.05.01 Tue » 『非歴史上の冒険』

 うれしい本が届いた。アヴラム・デイヴィッドスンのエッセイ集 Adventures in Unhistory (Tor, 2006)である。

2006-11-29(Unhistory)

 もともとは1993年にアウルズウィック・プレスという小出版社から出た本だが、いまや希覯本と化しており、古書市場では1000ドル近い値段がついていた。それが大手から再刊されたおかげで、当方のような貧乏人にも手が出るようになったのだ。これを喜ばずにいられようか。

 内容は、ドラゴンや人魚をはじめとする幻獣、あるいはプレスター・ジョンやシンドバッドの冒険をはじめとする伝説などの考証。簡単にいってしまえば、澁澤龍彦や種村季弘風のエッセイだが、脱線だらけの上にものすごい悪文で、文章で構築された迷宮の趣がある。

 こういうことを書けるのも、本書に収録されたエッセイの半分くらいは初出時に読んでいるからだ。
 きっかけは、ジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ編のアンソロジー Unicorns! (Ace, 1982) に書き下ろしではいっていた “The Spoor of the Unicorn” という文章を読んだこと。題名どおり、ユニコーン伝説を俎上に蘊蓄をかたむけたものだが、その性的な意味をえぐりだしていく手際がみごとで、すっかり感心してしまった。以来、このエッセイ・シリーズには注目していた。
 タイミングもよかった。どうやらガードナー・ドゾワがこの「非歴史上の冒険」のファンだったらしく、自分が編集するSF誌の〈アシモフズ〉や幻獣アンソロジーにちょくちょく掲載していた。こちらもそういうものを熱心に読んでいた時期だったので、多くを初出時に読めたのである。いまから20年以上も前の話だ。

 いっぺんに読むのはもったいないので、毎日1篇くらいのペースで読んでいこう。
 
 おまけ。本書にはピーター・S・ビーグルの序文がついており、そのあと本文がはじまるのだが、その最初のところを引用しておく――

 It may be that the reply of many is, Who Cares? And it lieth not in my power to make anyone care by force or constraint, but it may be I may be able to awaken the interest of those whose interests slumber.

(2006年11月29日)


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