FC2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2018.11 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2019.01

--.--.-- -- » スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013.07.21 Sun » 『若き魔術師たち』

 リン・カーターが編んだアンソロジーは数多いが、その嚆矢が The Young Magicians (Ballantine, 1969) だ。

2006-10-2 (Young)

 高名な《バランタイン・アダルト・ファンタシー》シリーズの一冊で、同時に出た Dragons, Elves, Heroes (Ballantine, 1969) とは姉妹編の関係にある。つまり、どちらも彼のいう空想世界ファンタシーの啓蒙アンソロジーなのだが、カーターが近代ファンタシーの祖と目すウィリアム・モリス以前/以後で二巻に分かれており、こちらが「以後」にあたるわけだ。

 まだ「空想世界ファンタシー」という言葉を発明してなかったらしく、ここでは「トールキン風ファンタシー」という言葉を使っているが、それがどのようなものかは、収録作家の顔ぶれを見れば一目瞭然である。

 ウィリアム・モリス、ロード・ダンセイニ、E・R・エディスン、ジェイムズ・ブランチ・キャベル、H・P・ラヴクラフト、クラーク・アシュトン・スミス、A・メリット、ロバート・E・ハワード、ヘンリー・カットナー、L・スプレイグ・ディ・キャンプ、ジャック・ヴァンス、C・S・ルイス、J・R・R・トールキン、リン・カーター。

 このほか、諸般の事情で収録できなかった作家として、以下の名前が献辞にあがっている。

 ロイド・アリグザンダー、ポール・アンダースン、ジェイン・ギャスケル、ジョン・ジェイクス、フリッツ・ライバー、マイクル・ムアコック、アンドレ・ノートン。

 ここで強調したいのは、カーターが空想世界ファンタシーをあまり細分化せず、ひとまとめにあつかっていること。エディスンとラヴクラフトとアリグザンダーをいっしょに並べる人間は、そうはいない。
 当方としても、サブジャンルのちがいをいいたてる現在の風潮には違和感を感じているので、このカーターの姿勢には大いに共感する。たしかにジャンルは細分化できるし、その独自性を主張することもできるが、そんなことをしても益はないような気がする。
 アガサ・クリスティもダシール・ハメットもミステリなのだから、トールキンもハワードも空想世界ファンタシーでいいじゃないか、というのが率直なところである。(2006年10月2日)

スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。