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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.08.12 Sun » 『彼方からの化けもの』

 テリー・カー編のアンソロジーに Creatures from Beyond (Thomas Nelson, 1975) という本がある。表題からわかるように、モンスター小説アンソロジー。薄いハードカヴァーで、造りが安っぽいうえに、表紙絵も冴えないが、内容はなかなかいい。

2006-7-7(Creatures)

 収録作品はつぎのとおり――

「怪音」デイヴィッド・H・ケラー
「擬態」ドナルド・A・ウォルハイム
「それ」シオドア・スタージョン
「花と怪獣」ヘンリー・カットナー
「生まれつきの猫もいる」テリー&キャロル・カー
「白夜」ブライアン・W・オールディス
The Silent Colony ロバート・シルヴァーバーグ
The Street That Wasn't There クリフォード・D・シマック&カール・ジャコビ
「ディア・デビル」エリック・フランク・ラッセル

 じつはケラー作品の原文がほしくて買った。そのうち新訳してお目にかける。原題は“The Worm”だし、巨大ミミズ怪獣が出てくる話なので、題名は「妖虫」に変えるつもり。乞御期待(ついでながら、スタージョンの作品も新訳するつもり【追記参照】)。

 編者が自作をまぎれこませているのはご愛敬。夫婦ではじめて合作した作品なので、とりわけ愛着があるとのこと。
 ラッセルの作品は、隠れた傑作なのでなんとかふたたび世に出したい。心やさしい異星人を描いたハートウォーミングな佳品である。

 未訳作品について記しておくと、シルヴァーバーグは54年発表のショートショート。ファースト・コンタクトものだが、箸にも棒にもかからない駄作。
 シマック&ジャコビという組み合わせには驚くが、同じSFファン・グループに属していた縁での共作。たぶんシマックがアイデアを出して、ジャコビが大部分の文章を書いたのだろう。ハーネスの「現実創造」のような話だが、出来のほうはたいしたことがない。これは41年発表の作品。(2006年7月7日)

【追記】
 上に書いたとおり、ケラー「妖虫」とスタージョン「それ」は、怪物ホラー傑作選と銘打ったアンソロジー『千の脚を持つ男』(創元推理文庫、2007)に新訳版を収録した。


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