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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.10.29 Mon » 『妖術師たちと剣士たち』

【承前】
 L・スプレイグ・ディ・キャンプのヒロイック・ファンタシー啓蒙アンソロジー。第四弾は Warlocks and Warriors (Putnam, 1970)だ。これまでの3冊とは版元を変えて、ついにハードカヴァーに出世。とはいっても、当方が持っているのは、例によって翌年にペーパーバック落ちしたバークリー版なのだが。

2006-5-24(Warlocks 2)2006-5-24(Warlocks 1)

 さて、初のハードカヴァーということで、気合いがはいっているはず。大いに期待させるが、すでに競合アンソロジーが何冊もあったため、落ち穂拾いのような苦しい内容になっている――

Introduction L・スプレイグ・ディ・キャンプ
Turutal レイ・カペラ
The Gods of Niom Parma リン・カーター
「死霊の丘」ロバート・E・ハワード 《ソロモン・ケイン》
「暁の雷鳴」ヘンリー・カットナー 《エラーク》
「盗賊の館」フリッツ・ライバー 《ファファード&グレイ・マウザー》
「暗黒神のくちづけ」C・L・ムーア 《ジョイリーのジレル》
「チュー・ブとシーミッシュ」ロード・ダンセイニ
「蟹の王」クラーク・アシュトン・スミス 《ゾシーク》
「蜘蛛の谷」H・G・ウェルズ
「ショアダンの鐘」ロジャー・ゼラズニイ 《ディルヴィシュ》

 未訳の2篇は同人誌に載ったもの。カペラの作品は、ハワードの〈ハイボリア時代〉の設定を借りた創作。カーターの作品は、ダンセイニのパスティーシュ。どちらもファン・ライティングの域を超えるものではない。
 ハワードの作品は《ソロモン・ケイン》シリーズだし、ウェルズの作品ともども場違いな感は否めない。おそらく、4冊のなかで最低の出来だろう。ディ・キャンプの解説も文章の使いまわしが目立つ。

 表紙絵は一見フラゼッタに思えるが、じつはジム・ステランコ。横長の絵なので、裏表紙もスキャンしておいた。背の部分が欠けているので、厳密には一枚絵にはなっていないが、構図などはわかると思う。
 なお、収録作の一部では、イラストのかわりに簡単な地図が付されている。書き忘れたが、これは前著 Fantastic Swordsmen も同じ。ハヤカワ文庫版《コナン》シリーズの場合、それぞれの作品に簡単な地図が付いていたのは、この影響だと思われる。

 余談だが、ゼラズニイの短篇はファンジンに翻訳を載せたことがある。掲載誌〈ローラリアス〉6号の発行は1982年。われながら、三つ子の魂百までだ。(2006年5月24日)

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