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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.10.26 Fri » 『剣と魔法』

 L・スプレイグ・ディ・キャンプといえば、ヒロイック・ファンタシーというジャンルの命名者であり、その中興の祖として多大な功績をあげた人だが、1960年代後半に一連の啓蒙的アンソロジーを編んでいる。Swords And Sorcery (Pyramid, 1963) は、その記念すべき第一弾である。

2006-5-21(Sword)

 内容はつぎのとおり(作者名のあとに付したのは、所属するシリーズ名)――

Introduction: Heroic Fantasy L・スプレイグ・ディ・キャンプ
「吟遊詩人ヴァラの剛胆」ポール・アンダースン
「宝石屋サンゴブリンドの悲惨な物語」ロード・ダンセイニ
「月下の影」ロバート・E・ハワード 《コナン》
「暗黒の砦」ヘンリー・カットナー 《レイノル王子》
「海王の留守に」フリッツ・ライバー 《ファファード&グレイ・マウザー》
「サルナスをみまった災厄」H・P・ラヴクラフト
「ヘルズガルド城」C・L・ムーア 《ジョイリーのジレル》
「アタマウスの遺言」クラーク・アシュトン・スミス 《ハイパーボリア》

 注記しておくと、ダンセイニの作品は、原書では長い題名の後半が省略されて、“Distressing Tale of Thangobrind the Jeweller”という短い題名になっている。弟子のリン・カーターもバランタインの短篇集で勝手にダンセイニ作品を改題しており、ビブリオ・マニア泣かせというほかない。
 
 ディ・キャンプの序文は、「3分でわかるヒロイック・ファンタシー」とでもいうべき概論。定義と歴史をこれ以上なく簡潔に述べている。わが国にこのジャンルの紹介がはじまったとき、だれもがこの序文を引き写していたのも当然だろう。
 ちなみに、「ヒロイック・ファンタシー」という言葉が、はじめて公になった場としても名高い。

 もちろん、当方もその影響を受けていて、『不死鳥の剣』(河出文庫)にはカットナーの作品を採らせてもらった。シリーズ第二作を単体で収録したのは、ディ・キャンプを見習ったわけだ。

 造本面では、ヴァージル・フィンレイのイラストを持ってきて、挿絵がわりに使っているのが特徴。もちろん、べつの小説のために描かれたものなので違和感は否めないが、フィンレイの絵が見られるのだから文句なしである。(2006年5月21日)

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