FC2ブログ

SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

2018.11 « 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 » 2019.01

--.--.-- -- » スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2013.05.19 Sun » 『剃刀つきの鞍』

 カウパンクという言葉をご存じだろうか。
 1980年代の末期、アメリカにスプラッタパンクを自称するホラー作家の一群があらわれた。過激な暴力描写とロック感覚を売りものにしたホラーの書き手たちで、その作風からラウド・ホラーとも呼ばれた。当時、モダンホラーを否定して、クラシック・ホラーへの回帰を叫ぶ者たちがいたのだが、その一派の理想であるクワイエット・ホラー――つまり、抑えた筆致で淡々と怪異を綴る作品――に真っ向から異を唱えた形だったからだ。

 そのスプラッタパンクが勢いにまかせ、ウェスタンの世界に殴りこみをかけたのがカウパンク――という触れこみなのだが、もちろんこれは冗談。ジョー・R・ランズデールをはじめとする一部のウェスタン好きが、趣味を全開にしてホラー・ウェスタンを書きあげ、それを集めて本にしたというのが実態である。
 その本というのが、ランズデールとパット・ロブラットの編になる書き下ろしアンソロジー Razored Saddles (Dark Harvest, 1989) だ。ただし、当方が持っているのは、翌年にエイヴォンから出たペーパーバック版だが。

2011-7-1(Razored Saddle)

 題名は、もちろん leather saddles にかけているのだろう。
 全部で17の作品がおさめられており、このうちロバート・R・マキャモンの「黒いブーツ」とランズデールの「仕事」は邦訳がある。

 なじみのない名前をずらずら挙げても仕方がないので、わが国でも多少は知られている名前だけ挙げると、ルイス・シャイナー、F・ポール・ウィルスン、デイヴィッド・J・スカウ、アル・サラントニオ、リチャード・レイモン、ニール・バレット・ジュニア、ハワード・ウォルドロップ、リチャード・クリスチャン・マシスンなどが作品を寄せている。

 スプラッタ西部劇はむしろ少数派で、民話調のホラーからSF仕立てのものまで、ヴァラエティに富んでいるが、作品の水準はあまり高くない。
 集中ベストはチェット・ウィリアムスンの “Your Skin's Jes's Soft 'N Purty...” He Said. だろうか。西部に憧れて移住してきた都会育ちの作家(男性)が、地元の荒くれ男にレイプされる話。その男が作家に向かっていう言葉、「おめえの肌は娘っこみたいにやわらけなあ」が表題である。ひどい話。(2011年7月1日)


スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。