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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.08.06 Mon » 『ハリウッド展開』

 しばらく前に手に入れた本に Hollywood Unreel (Taplinger, 1982) というアンソロジーがある。題名どおり、ハリウッドにまつわる幻想怪奇小説やSFを集めたもの。編者は悪名高きマーティン・H・グリーンバーグ&チャールズ・G・ウォー。アシモフがからんでないのは、テーマに興味がなかったからか。

2006-3-22(Hollywood)

 序文があるわけでもなく、各篇に簡単な前書きがつくだけで、味も素っ気もない本だが、収録作品は悪くない。スタンダードをきちんと押さえた上で、珍しい作品を載せている。全13篇のうち、邦訳があるのはつぎのとおり(追記1参照)――

「希望を実現した男」C・S・フォレスター
「SF・怪奇映画ポケット・コンピュター」ゲイアン・ウィルスン
「努力」T・L・シャーレッド
「ムーヴィー・ピープル」ロバート・ブロック
「草地」レイ・ブラッドベリ
「台詞指導」(別訳題「五番街のバス」)ジャック・フィニイ

 未訳作品のなかでは、J・マイクル・リーヴズの“Werewind”が抜群にいい。題名どおり、「生きている風」をあつかったホラー・タッチの綺譚である。ほかに目につくのはベン・ヘクトの中篇、ロバート・シェクリイのニュー・ウェーヴ風短篇といったところか。

 さて、なんでこの本を買ったかというと、フィニイの短篇を近く新訳するつもりだから。思わせぶりな記述がつづくが、版権等の問題がクリアされたら、企画中のアンソロジーの詳細を書くことにする(追記2参照)。(2006年3月22日)

【追記1】
 この後ロバート・シェクリイ「けっして終わらない西部劇」と、トマス・M・ディッシュ「ジョイスリン・シュレイジャー物語」が邦訳された。どちらも〈SFマガジン〉の追悼特集号に掲載されたもの(前者は2006年11月号、後者は2009年5月号)。無常なり。

【追記2】
 アンソロジー『時の娘――ロマンティック時間SF傑作選』(創元SF文庫、2009)のこと。フィニイの作品は新訳して同書に収録した。福島正実訳に敬意を表して、題名は「台詞指導」とした。


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