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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.06.30 Sat » 『コナン血まみれの王冠』

【承前】
 ワンダリング・スター/デル・レイ版コナン全集は、ラスティ・バークとパトリス・ルネ(追記1参照)のふたりが中心になって編纂している。その編集方針を箇条書きすると――

1 ハワードが書いたとおりの形で作品をすべて収録する。
2 執筆順に作品を並べる。
3 ハワードが書いた関連の文章を付録としてすべて収録する。

となる。あと目立った特徴は、巻ごとにちがうハワード・ファンのイラストレーターが、何十枚もイラストを寄せているうえに、序文まで書いていることだろうか。

 意外に思われるかもしれないが、いずれも実現したのは今回がはじめて。とりわけ2は快挙といっていい。というのも、執筆順と発表順は、かならずしも一致しないからである。
 だが、編者たちは遺稿を管理しているグレン・ロードの全面協力をとりつけ、原稿はもとより、メモや手紙を綿密に調査することで、執筆順を明らかにした。これによって、ハワードの作家的成長とコナン・シリーズの軌跡がたどれるようになったのだ。

 したがって、本書の場合、可能なかぎり雑誌初出のテキストではなく、ハワードの決定稿から本文が起こされており、下書きや梗概の類は付録として収録されている。
 ついでにいうと、題名も雑誌掲載題ではなく、ハワードの原稿にあった題名を採用している(おかげで、見慣れぬ題名の作品を未発表作品と勘違いして色めき立つというお粗末もあったのだが、これは当方がそそっかしいだけだろう)。
 
 また長くなったので、つづきは明日。

 ちなみに第2巻は The Bloody Crown of Conan (2003) と題されている。

2006-2-3(Bloody Crown)

(2006年2月3日)

【追記1】
 これまで当方は Patrice Louinet という人をフランス系アメリカ人だと勘違いしていて、「パトリース・ルネット」と表記していたが、フランス在住のフランス人だとわかったので、「パトリス・ルネ」とあらためる。

【追記2】
 参考までに収録作を書いておく。

〈小説〉「黒い予言者」、「龍の刻」、「魔女誕生」
〈資料〉「トムバルクの太鼓(梗概)」、「トムバルクの太鼓(草稿)」

 さらに創作メモなどの資料、充実した解説がおさめられているほか、ゲイリー・ジャンニのイラストが満載である。


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