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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.07.17 Wed » 『白き狼の物語』

【前書き】
 以下は2005年12月23日に書いた記事である。誤解なきように。


 ひょんなことから、エルリックものの短篇“The White Wolf's Song” (1994) を訳すことになった。エルリックとは、もちろん、マイクル・ムアコックが生んだ〈剣と魔法〉史上最大のアンチ・ヒーローのことである。

 じつは7年前にも別口の話があって、そのとき訳しておいたのだが、さる事情でお蔵入り。それが陽の目を見ることになったのだ。
 というわけで、旧訳に手を入れるだけでいいと思っていたのだが、世の中それほど甘くはない。旧訳のあまりのひどさに愕然として、全面的に訳しなおしたしだい。自分でいうのもなんだが、かなり良くなっているはずである。
 それでも、文章によっては、一字一句変わっていないところもあり、われながら苦笑せざるを得なかった。

 それはさておき、そのテキストに使ったのが、オリジナル・アンソロジー Tales of the White Wolf Edited by Edward Kramer (Borealis, 1994) である。

2005-12-23(Tales of White Wolf)

 小谷真理さんにアメリカ土産としていただいたもの。あらためてお礼申しあげます。

 これはエルリック・トリビュートのアンソロジーで、ムアコック本人のほかに20人と3組(2人で共作)の作家がエルリックにまつわる作品を寄せている。
 顔ぶれは有名無名いろいろだが、タッド・ウィリアムズ、ナンシー・A・コリンズ、カール・エドワード・ワグナー、コリン・グリーンランド、ニール・ゲイマンなどは、わが国でも知られているだろう。

 全部を読んだわけではないが、読んだなかでいちばん面白かったのはゲイマンの“One Life Furnished with Early Moorcock”という短篇。ストーリーというほどのものはなく、エルリックに熱中する12歳のファンタシーおたく少年の日常がスケッチされる。おそらくゲイマンの自伝的要素が強いのだろうが、同じ1960年生まれの身としては、他人ごととは思えない。読むと切なくなるような佳品。余談だが、ゲイマンがユダヤ系とは知らなかった。ひとつ利口になった。

 つぎに面白かったのは、ワグナーの“The Gothic Touch”だろうか。ワグナーのアンチ・ヒーロー、ケインがエルリックとムーングラムを呼び寄せて、ゴシックでSF的ともいえる冒険を繰り広げる一篇。楽しんで書いているのが伝わってくるのがいい。

 肝心のムアコックの短篇は、2月に拙訳が世に出るので、そのときお読みください(追記参照)。(2005年12月23日)

【追記】
「白き狼の歌」という訳題で『文藝別冊 ナルニア国物語――夢と魔法の別世界ファンタジー・ガイド』(河出書房新社、2006)というムックに掲載された。このムックは映画『ナルニア国物語 第一章:ライオンと魔女』の公開に合わせて出たものだが、《ナルニア国物語》のガイドブックというわけではなく、前半《ナルニア》関連、後半異世界ファンタシー全般という構成になっており、興味深いインタヴューや論考が掲載されている。
 さらにムアコックの短篇のほか、オースン・スコット・カードとジェイン・ヨーレンの本邦初訳短篇も載っている。あまり知られていないようなので特記しておく。

 ちなみに、「白き狼の歌」は、エルリックが《第二エーテル》の世界に迷いこむ話であり、厳密にいえば《第二エーテル》シリーズに属す。その証拠に“The Black Blade's Summoning”と改題のうえ、同シリーズ第二巻 Fabulous Harbours (1995) に収録されている。

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