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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.10.01 Mon » 〈探偵倶楽部〉のこと

 あまり知られていないが、〈探偵倶楽部〉という雑誌にエドモンド・ハミルトンの「整形外科手術」というミステリ短篇が載っている(1957年10月号)。ただし作者名が目次では「E・ハミルトン」、じっさいのページでは「エドモンド・スミルトンになっている。したがって、いろいろな調査の目から漏れたのだろう。

2005-12-14(seikei)

 ところで、調査の過程でわかったのだが、じつはこの雑誌がけっこうSFを載せている。もちろん〈SFマガジン〉創刊以前の話である。
 まだ調査中だが、あまり知られていないので、判明したところをリストにしてみる――

56年4月「歪んだ家」ロバート・ハインライン(村西義夫)
56年6月「金剛石のレンズ」F・J・オブライエン(蘭世史)
56年7月増刊「火星放浪記」スタンレー・ワインバウム(村西義夫)
56年8月「噛む者」アンソニイ・バウチア(南町一夫)
57年12月「訪ずれた死体」E・F・ラッセル(福島仲一)
58年1月「君は生きているのか?」スタニスラフ・レム(袋一平)
 同上「レムについて」

 古典ホラーやSF系作家のミステリまで視野に入れればリストはふくれあがり、なかには今日泊亜蘭訳のベンソン「妖虫」やらジェイムズ「銅版画」やらミドルトン「幽霊船」といった興味深い例もあるが、いまは割愛する。

 〈探偵倶楽部〉は50年5月創刊、59年2月廃刊。つまり、後半の一時期に集中してSFが載ったことになる。 
 上のリストをながめればわかるように、なかなかの選択眼。よほど優秀なブレーンがいたのだろう。
 とりわけレムの作品は、おそらく日本初紹介。快挙といっていい(ちなみに、この作品はのちにSFマガジン62年8月号に転載された)。
 それ以外の作品は、すべてのちに新訳されて流布した。

 ともかく、〈SFマガジン〉中華主義の弊害で、こういう業績がなかったことになるのが怖い。よく〈SFマガジン〉に再録が載ることを批判する野暮がいるが、そういう人が〈SFマガジン〉ではじめて読んだ作品が、再録だったケースも多いのである。(2005年12月14日)

【追記】
 念のために書いておけば、エリック・フランク・ラッセルの「訪ずれた死体」は「衝動」あるいは「インパルス」の訳題のほうが知られているだろう(原題は“Impulse”)。あとは流布している訳題とさほどちがわないので、想像がつくはずだ。
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