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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.06.05 Tue » 『舌鋒』

 前にジョン・クルートのSF評論集 Strokes: Essays and Reviews 1966-1986 (Serconia Press, 1988) を持っていないと書いたら、親切な方が譲ってくださった(追記参照)。なんでも、書庫を整理するので、いらない本は処分するのだという。クルートの本のほかに、ストーム・コンスタンティンの本もたくさん譲っていただいた。どれも貴重なものばかり。王族のゴミは貧乏人の宝なのである。白石朗さん、ありがとうございました。

2005-12-12(Strokes)

 ところで、譲っていただいた本にケチをつけるようでなんだが、これらの本には煙草の臭いが強烈にしみついている。元の所有者は相当のヘヴィースモーカーらしい。白石さん、健康のために吸いすぎには注意してください。

 さて、問題の本だが、基本的にSF時評集。さまざまな媒体に寄せた書評の集大成である。
 クルートの毒舌ぶりは有名だが、はじめからエンジン全開で、書評をするというよりは、喧嘩を売っているとしか思えない。面白いのでさわりを紹介する。

 シマックの長篇 Our Children's Children (Putnam, 1974) に寄せて――
「かくしてキャリアの午後じゅう白昼夢を見て過ごしたクリフォード・D・シマックは、近年まれに見る愚劣で気のぬけた長篇を書いた。彼をなつかしむ読者は、だれもが愛し、称賛したシマックを求めて本書を手にとるだろう。だが、作者は眠りこけていたとわかるだけ。どこかの王子さまが彼にキスをするべきなのだ」

 マイク・アシュリー編のアンソロジー Souls in Metal (St.Martin's Press, 1977) に寄せて――
「概して彼のコメントは、活字になった文章のうちでもっとも苛立たしいもののひとつに数えられる。ハイスクール程度の文法的誤謬(まさに噴飯もの)と意図せざる造語が交配し、ヒロシマの蝿のようにそこらじゅうにたかっているのだ……ひょっとするとアシュリー氏は、英語の本が書けないのかもしれない。ひょっとすると版元は、英語の本がいかなるものか知らないのかもしれない」

 もっとも、クルートが俎上にあげる本は、半分以上が未邦訳なので、クルートがスカばかりつかんでいるという印象は否めない。
 果たして、それだけ多くの愚作が出ているのか、それともクルートの選択眼に難があるのか、はたまた、過激なことを書くためにわざと駄作を選んでいるのか、真相はいかに。(2005年12月12日)

【追記】
 いただいた本は大判ペーパーバックだが、同時にハードカヴァー版も刊行されたとのこと。


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