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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.06.01 Fri » 『吾らは夢と同じ糸で織られているのだ』

 辛口のSF評論集を紹介したい。重鎮トマス・M・ディッシュの The Dreams Our Stuff Is Made of (Free Press, 1998) だ。ただし、当方が持っているのは、サイモン&シュスター系のタッチストーンから2000年に出たトレード・ペーパーバック版である。

2005-11-1(Stuff Dream )

 変わった表題は、シェイクスピアの『あらし』に出てくるプロスペロの台詞からとられたものだろう。

 簡単にいってしまえば、アメリカSF論。ポオから説き起こし、アメリカSFの諸相を分析しながら、痛烈な批判を加えていく。SFの可能性を信じている著者だけに、その可能性を浪費している実状には我慢がならないらしく、その舌鋒は辛辣をきわめる。この反骨精神は見上げたもので、非常に痛快な本である。

 じつは河出文庫の『20世紀SF』シリーズで解説を担当したとき、本書をだいぶ参考にした。とりわけ宗教とSFの関係を論じた章や、ミリタリーSFを批判した章には啓発されたものである。あらためてディッシュには謝意を表したい。(2005年11月1日)


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