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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2012.06.14 Thu » 『ブラッドベリは語る』

【前書き】
 以下は2005年8月26日に書いた記事である。誤解なきように。


 またしてもブラッドベリの新刊が出た。こんどはエッセイ集である。

2005-8-26(Bradbury Speaks)

  Bradbury Speaks (Morrow, 2005) は250ページほどのハードカヴァーで、37篇のエッセイが収められている。そのうち約3分の1にあたる13篇が書き下ろし。残りは1962年と68年発表のエッセイが1篇ずつで、大半は1990年以降のもの。悪くいえば、落ち穂拾い的な性格が強い(追記1参照)。

 全体は6部に分けられており、各部はそれぞれ「創作について」、「SFについて」、「人について」、「生活について」、「パリについて」、「ロサンゼルスについて」と題されている。

 面白いエッセイもあるが、自慢話が多いので、ちょっと鼻につく。同じエピソードでも、サム・ウェラーの伝記のように他人が誉めるのと、ブラッドベリ本人が自慢げに語るのとでは、読んだときの感じがだいぶちがうのだ。
 逆に、飛行機恐怖症を克服した経緯を書いたエッセイなど、自分の愚かしさを笑う内容のものは抜群にいい。あるいは、恩人との思い出を綴った文章もすばらしい。最愛のパリを賛美したエッセイも、ブラッドベリらしい独特の文章が楽しめる。
 そういうわけで、ブラッドベリのファンにだけ薦めておく。

 ちなみに、前にこの日記で紹介した短篇集 The Cat's Pajamas は拙訳が河出書房新社から出ることになった(追記2)。これをウェラーの伝記邦訳につなげたいものだ。(2005年8月26日)

【追記1】
 のちに〈SFマガジン〉2006年1月号がブラッドベリ特集を組んだとき、「ブラッドベリ・エッセイ・セレクション」と題して本書から選びぬいた5篇を訳載した(すべて市田泉訳)。上に記した飛行機の話や、ウォルト・ディズニーとの思い出を綴ったエッセイもはいっている。

【追記2】
 拙訳『猫のパジャマ』(河出書房新社、2008)のこと。



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