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SFスキャナー・ダークリー

英米のSFや怪奇幻想文学の紹介。

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2013.01.03 Thu » 『銀の心臓』

【前書き】
 ムアコックとほかの作家との共作つながりで、以下の記事を公開する。


 この前ある編集者としゃべっていたら、ストーム・コンスタンティンの話になった。イギリスの女流ファンタシー作家で、マイクル・ムアコックとタニス・リーの子供のような作風である。わが国には短篇がいくつか紹介されているだけだが、その耽美的な作品はけっこう受け入られそうな気がする――というような話をしたのだが、当方もたいして作品を読んでいるわけではない。

 じつをいえば、長篇はムアコックと共作した Silverheart (Simon & Schuster UK, 2000) を読んだだけ。だが、これがかなり面白かった記憶がある。

2005-8-25(Siverheart)

 簡単にいえば、英国伝統の妖精文学と『ゴーメンガスト』風の都市幻想文学を合わせて、スチームパンクとヒロイック・ファンタシーをふりかけたような作品。妖精や魔法とロボットが共存する世界設定は、21世紀のファンタシーを感じさせる。
 
 文章はすべてコンスタンティンが書いていると思うのだが、随所にムアコック好みのモチーフが出てくる。
 たとえば表題にもなっている「銀の心臓」。これは主人公の胸に埋めこまれた魔法の道具で、主人公の魔力を増大させるかわりに、6日で主人公を体内から食い尽くすというしろもの。『ルーンの杖秘録』の「額の宝石」を思いださないわけにはいかない。
 きっと共作者ふたりでアイデアを出しあい、ストーリーを練っているのだろう。

 そういうわけで、ムアコック・フリークの当方も大満足の作品。当方の趣味からすれば、ちょっと饒舌すぎる嫌いがあるが、それも今風なのかもしれない。(2005年8月25日)

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